オタクって何者だっけ?

某国民的アイドルグループの謝罪坊主頭の記事を読んでいて思ったことなどをつらつら書こうかと。
別に謝罪についてどうのこうの書く気はないです。
あと、これは自分の主観ですので裏付けは若き日の自分自身しかありません。


今やすっかり「オタクはアイドルを見る者だ、聞く者だ、おっかける者だ、お布施する者だ」って印象があるけど、本来「オタク」ってアイドルも見なきゃ聞きもしないし、おっかけもお布施もしない存在だったと思う。
「今はこういうのが流行ってるのか」程度には思うけど、アイドルよりもアニメやゲームやマンガに夢中になってた。
年月を書くとあれだけど、1980年代〜90年代って「オタク」と「アイドルファン」って反目しあってたというか、近親憎悪しまくってたというか。
「オタク」は「アイドルファンなんて、用意された偶像に夢中になってる浅はかなヤツら。清純そうに見えても裏で何してるかわかんないのに」ってアイドルファンを卑下すれば、「アイドルファン」は「オタクなんてアニメやマンガに夢中になってる幼稚なヤツら。早く大人になれよ?」とオタクを蔑んでたし。
いま思うと目くそ鼻くそだけど、当時はオタクとアイドルファンには決定的な溝があったと思うんだよね。
第一、オタクは文化系のちょっとひねくれたヤツがなるもので、アイドルファンになるのは体育会系やヤンキーの方が多かったと思う。
文化系の部室にはアニメ雑誌の付録のポスターが貼ってあり、体育会系の部室にはその当時流行ってるアイドルのポスターが貼ってあるものだったし。
そういう時代を過ごしてきた、岡田斗司夫氏がいうところのオタク第二世代の自分としては「オタク=アイドルファン」って言われることに違和感があるのですよ。


えっ? そうだっけ? 昔から「オタク=アイドルファン」で、オタクってアイドルをおっかけてたでしょ? と言われたら、じゃあ宮崎勤事件のときアイドルって規制されましたっけ? と答えるしかない。
アイドルを見ると犯罪者になるなんて言われたこと、一度たりともなかったですよね? と。
そう考えれば当時のオタクが置かれてる状況と「オタク=アイドルファン」ではなかったという状況の説明がつくと思います。


で、世の中で「オタク=アイドルファン」を根付かせたのはモーニング娘。だと言われることもありますが、自分は90年代後半のキャラソンやキャライベントで声優が歌い出したのがきっかけじゃないかなぁと。
それまでもキャラソンやキャライベントで声優が歌うことはありましたが、90年代後半はギャルゲーブームの中、声優がアイドルのようにライブやコンサートで歌うようになりました。
今や武道館でコンサートをする声優も出てくるようになりましたし。
これで「オタクはアイドルを見る者だ」って思われるようになったのかもしれません。


でもね、ここで忘れちゃいけないのが彼らは「声優ファン」であって、「アイドルファン」に変質したわけじゃないんですよ。
「声優」の部分が「アイドル」に置き換わったわけじゃなく、「声優ファン」はずっと声優ファンのまま。
そして「声優ファン」と「アイドルファン」にも確執というか、相容れない部分もあって複雑なのです。
じゃあ「アイドルファン」ってどこから来たんだ? ってことになりますが。


そこで自分はこう考えてみました。
アイドルという存在が好きな、趣味にするような層はそれなりの数がいつの時代にもいて、それらの要素を持つ人たちが自然にアイドルファンになったんだと。
オタクだからアイドルが好きなんじゃなくて、アイドルが好きな人たちがそのままアイドルファンになった。
オタクが自然にオタクになるように、アイドルファンも自然にアイドルファンになった。
そう考えれば時代的にも説明出来るし、現状も説明出来るような気がします。


岡田斗司夫氏によればオタクはクロスジャンルする者ですから、中にはアイドルが好きなオタクもいるでしょうけど、それをさして全体を「オタク=アイドルファン」とするのも乱暴すぎる話だし。
秋葉原AKB48の常設会場を作った秋元康氏の「オタクはアイドルを見るものだ」というイメージ戦略が世間的にピタッと当てはまって「オタク=アイドルファン」みたいになってるだけなんじゃないかと自分は思うのですが。


で、結局何が書きたかったかというと、謝罪坊主頭、オタクは一切関心がないですよ、と。
マスゴミさんは「オタク大ショック!!」と書くんじゃなく「AKB48ファン大ショック!!」ときちんと書きなさいよ、ということなんですけどね。
あと「AKB48ファン=オタク」ではないですよ、と言いたいのも追加。


<PS>
上のような時代的な文化系・体育会系的な確執というか、棲み分けみたいなものを経験してるので「オタク=アイドルファン」とされるのに自分は抵抗があるんですよねぇ。
例えば何か事件が起こって犯人がアニメやゲームを持っていたら「アニメやゲームを持ってると犯罪者になる!!」とバッシングされるのに、犯人がアイドルの誰それのファンだとしたら「誰それのファンになると犯罪者になる!!」とはバッシングされないわけですし。
ただ、そういう確執みたいなものを持ってるのはオタク第二世代ぐらいで、第三世代や現世代はないのかもしれず、この文章を読んでもピンと来ないかもしれないですね。