『任侠姫レイラ』

ニュースサイトやマンガ感想サイトで取り上げられていたので"プロレスファン"としてこの作品を読んでみました。

仁侠姫レイラ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

仁侠姫レイラ 1 (少年チャンピオン・コミックス)


ニュースサイトや漫画感想サイトでのおおよその感想は「プロレスが存在を公表していないブック、つまり台本があることをカミングアウトしたところがスゴイ!! やっぱりプロレスは八百長だったんだ!!」ってのが多かったかな。
プロレスのタブーに踏み込んだところがすごい、と。


でもプロレスファンからすれば皆さんどこを見てるのだろう? と思うんですよね。
ブックがあろうと台本があろうと八百長だろうとシュートだろうとガチンコだろうと、見てる観客が「この試合はすごい!!」「この選手はすごい!!」と思わなかったら、それはプロレスじゃないんですよ。
「見に来てよかった!! 次の試合が楽しみ!!」と思わせられなかったら、それはプロレスでもプロレスラーでもないんです。


この作品を読んでいて作者がプロレスをよくわかってるなと思うのは、ブックの存在だけを声高に叫んでるんじゃなく、そのブックを可能にするほど鍛え上げられたレイラのすごさを表現しているところだと思うんです。
ブックの存在じゃなく、鍛え上げられたレイラを見ろ、と。


おいらはプロレスの凋落はハードヒット・ハードコンタクトしなくなってから始まったと思ってます。
本来決めるべきリストロックがおざなりになってたり、ストンピングも踏んでるだけだったり、パンチも当ててるだけ。
それは選手がちゃんと練習していないのか、ハードヒット・ハードコンタクトに耐えられる選手が業界に入って来なくなったのか。
とにかく今の選手はプロレスが下手になってて目も当てられません。


この作品のブックの存在に注目してる人が多いようですが、じゃあプロレスにブックがあるならなんであんなに面白くない、つまらない試合が多いのか。それを考えてみたことはあるでしょうか。
「やっぱりブック、台本があるじゃないか」「やっぱりプロレスは八百長じゃないか」と言われてもプロレスファンは「はぁ、それが何か?」としか答えようがなくて。
プロレスファンとしては「ブックや台本あるのならあるでいいから、もっと面白いブックや台本書けや!!」としか言いようがなくてですね。
自団体の最強を決めるリーグ戦に他団体の選手を呼んできて接待試合して、あげくにフリーの選手に優勝させるって、もうそういうブックはやめてくれ!! と言いたいのです。


と、こう書いてくると橋本真也の試合をDVDで見たくなりまして。
橋本のあの蹴り!!
東京ドームの端々にまで響き渡る重爆キック!!
蹴るほうもすごいけど受けるほうもすごい!!
あれこそがプロレスだとおいらは今でも思っています。