「商業同人誌」というタイタニック。

今日は「駄文にゅうす」さんのところ経由でこの話題。

  • 『同人問題の当事者不在の理由』と『非当事者の無理解』 (妄想楼)

http://m-s-r.sakura.ne.jp/2007/05/post_58.html
妄想楼さんもへっぽこさんも今回の著作権法の非親告化について、当事者、つまり二次同人誌・パロディ同人誌の描き手の議論がないのはなぜだ? と投げかけてらっしゃるのですが、そのことに同人の末席も末席、端くれも端くれで活動してる自分が言わせてもらうと、「業種が違うから」としか言いようがないかなぁ。
二次同人誌作家は二次同人誌を書くこと、表現すること、発表することを目的にサイトを持ってるので、別にブログで熱く議論したいわけじゃないんですよね。
つまり同人作家は「作家」であって「議論屋」じゃないですよ、ということ。
議論屋じゃない人に議論を求める方が無理なのでは。


いやいや、当事者のあなたたちが生の意見を書き、議論に加わってくれないと同人誌の本質に迫れないじゃないですか? と言われるなら、自分は同人誌がふたつにわかれていることを挙げます。
それは「ファンジン」と「商業同人誌」。
「ファンジン」で活動してる人間にとっては今回の著作権法の話題は「関係のない話」。
だって営利行為でも何でもないから。
強いて問われるなら著作者人格権だけど、でも著作者人格権って非親告化出来るものなの? と。
だから議論する必要がありません。
「商業同人誌」で活動してる人間にとっては、そもそも議論の場に加わるには自分のおこないを海賊版作成行為と認めなければいけないので、議論に加われないのです。
だから議論したくても議論に加われません。


同人誌が「ファンジン」と「商業同人誌」にわかれていることが今回のことに同人誌作家が議論に加わらない、加われない部分じゃないかなぁと自分なんかは思います。


んでね、自分は総合格闘技が好きなのですが、総合格闘技っていかにルールを自分の味方に付けられるか? という戦いがあるんですよ。
ルールを味方につけた上で、相手の攻略法を練ります。
総合格闘技が個人の能力じゃなく、チームの総合力で勝負が決まるのはそのため。
逆にルールに抵触する行為は取り除く必要があります。
この前のヒーローズで秋山選手がルールで禁止されているオイルを身体に塗っていたのは、チームが「このままでは桜庭に勝てない」と認めたことでもあります。


でね、今回の著作権法の非親告化の件。
「ファンジン」で活動してる自分から暴論を言わせてもらえば、著作権侵害の線引きを「営利行為」と定めてくれるなら定めてくれた方が都合がいいです。
おそらく「ファンジン」で活動してる人間からは賛同、「商業同人誌」で活動してる人間及びその読者からは非難囂々だと思いますが。
著作権侵害の線引きが営利行為であるなら「ファンジン」で活動してる人間は活動の幅が広がることになりますし、「商業同人誌」で活動してる人間には問答無用の制限が付くことになります。
こういうとき、コミケの高額な参加料は「ファンジン」の強い味方になりますよね(笑)。
えっ? 「商業同人誌」の読者は? 
自分は線引きされた方がその人たちにとってもメリットの方が大きいと思いますが。
だって利益を出しちゃいかんのなら同人誌の値段は下がりますし、発行部数が少なくなることの懸念は「営利じゃなければプラスマイナスゼロの帳簿」で片づきますし。
いや、同人誌の値段は下げられない、発行部数も減らせない、営利行為じゃなくなったら本を出せない、という作者には「やっぱり金目当てかい!!」と言うことが出来ますよね。


もうね、ぶっちゃけ言うと「商業同人誌」は逃げられないと思いますよ。
今回の著作権法の件も、商業同人誌はファンジンを盾にとって逃げるつもりでいるみたいですが、ファンジンからすれば「それ、そっちの問題でしょ?」と。「いや、ウチ関係ないから」と。


今回の著作権法の件、「商業同人誌=同人誌」というカテゴリーで考えてるかぎり感情論に終始すると思いますよ。
で、「商業同人誌の感情論」を「ファンジン」が眺めて楽しむと。


あ、「ファンジン」から「商業同人誌」へ助け船なんて出ませんので。
商業同人誌の作者ならび読者の方が、商業という巨大な市場、巨大な船になった「商業同人誌」タイタニック著作権という氷山に乗り上げて右往左往するする姿を見て楽しんでおります。
もうね、「ファンジン」という浮き輪を期待しちゃダメですよ。
だって、線引かれるのは「営利行為」ですから。
「ファンジン」から浮き輪を投げてあげたいけど、投げられないです。