同人誌ってのは商業同人誌だけなのですか?

今日は『かーずSP』さんのところ経由でこの話題。

  • 著作権法改悪で同人誌制作が全面違法化か!?  (警察庁の『漫画・アニメ・ゲーム表現規制法』検討会問題まとめ @Wik )

http://www11.atwiki.jp/stop_kisei/
うーん、同人誌制作が全面違法化か!? というセンセーショナルな書き方なのですが、自分は「?」と。
まずこの記事の元になってる政府の知的財産戦略本部の知的財産推進計画2006

この計画はコンテンツの海賊版を厳しく取り締まるとは描いてますが、別にパロディの定義にまで踏み込んで、パロディも取り締まりの対象にするとは書いてません。
さらに著作権法改定案はこちら。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16505012.htm
これについてはこちらで詳しく解説されてます。

http://himagine9.cocolog-nifty.com/kitaguni/2006/12/post_ec06.html

http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2006/11/29/14070.html
この改定案って、どっちかというとIPマルチキャストをおこないやすくするための改定。
もちろん海賊版に対しても強化されてますが。


ものすごーく大雑把に考えると計画も改定案も「いま、インターネットの発達で海賊版が流れやすくなってるからそれを取り締まりますよ〜」って感じかな。
海賊版の定義については、別にパロディの定義にまで踏み込まず、コピー品や模造品といった従来の海賊版の定義に留まってます。
これでなぜ同人誌が全面違法になるのでしょうか?


それはおそらくこの「まとめ@wik」を書かれてる方の「同人誌」の定義が「海賊版」だからではないでしょうか。
つまり「同人誌委託書店で"販売"されているような、"既存のキャラと見間違うような"本」。
ありていに言えば「商業同人誌」。
商業同人誌は海賊版認定されても仕方がない部分があります。


だけども自分は思うのです。
同人誌ってのは商業同人誌だけなのですか? と。
営利を目的とせず実費で細々と、ファン活動の一環で頒布されてるファンジンはどうなのですか? と。


もうね、ぶっちゃけ書いてしまうと、『テニスの王子様』で脱税した事件も含め、商業同人誌を考え直さないと、ファンジンも商業同人誌の道連れにされかねないのですよ。
なぜなら商業同人誌側はファンジンを盾にとってパロディとしての正当性を訴えるから。
さらに商業同人誌のピンチを、ファンジンを含めて「同人誌制作が全面違法か」なんてやるわけです。
でもファンジンの側からすると商業同人誌に「そっちは単なる海賊版じゃないか!!」と言いたいわけですよ。
「ピンチ、ピンチって言うけど、そりゃ海賊版である商業同人誌のピンチなだけでしょ?」 と。


商業同人誌というものを少し考え直さないと、それこそファンジンを含めた同人誌全体のピンチだと自分は思います。


…と言っても、「同人誌=商業同人誌」って認識の方が大多数になれば、それはそうなるんですよね。
多数派の定義が世間の定義なのですから。
そんな中でファンジンのことをいくら叫んでも…無力感が残るだけです。