週刊ファイト休刊に思う。

2006年9月27日、10月4日付けの1990号で週刊ファイトが休刊。
スタッフの皆さん、長きに渡りお疲れさまでした。


自分がプロレスファンになった当時は週刊プロレス週刊ゴングだけを読んでいたのですが、そのうちプロレスにつきまとう「あの試合は八百長なのか?」とか「あの選手とこの選手のいがみ合いは本当なのか?」という疑問にぶち当たり、その疑問の境界線上を書いていたのが週刊ファイトでした。
俗に言う裏ネタとかゴシップってやつですね。
その裏ネタやゴシップで、ファンとともにプロレスのファンタジーを広げたのが週刊ファイトだったと思います。
週ゴンや週プロが「プロレスファン向け」なら、週刊ファイトは「プロレスマニア」「プロレスフリーク」「プロレスオタク」向けのとにかく濃い雑紙でした。
そんな濃い紙面でしたから、プロレスオタクの自分がのめり込むのに時間はかかりませんでした。


週刊ファイトは裏ネタやゴシップも多かったんですが、そのぶんスクープも多くて、そのスクープのせいで水面下で進んでいた話が壊れたりして、プロレス団体から目の敵にされていた時期もありました。
ファイトを目の敵にしていた新日本プロレスの裏ネタ、ゴシップ、スクープを載せ続けたせいで、新日から取材拒否を食らってしまい、そのためファイトが新日にアタマを下げるかたちでわびを入れ、それらの記事を一切載せなくなってしまいました。
2003年のことだったかな?
自分はこれがプロレス、そしてプロレス業界にとって、凋落への大きな曲がり角になったと思います。


団体から発表される記事、そして団体が喜ぶ記事だけを載せ続けた結果、読者がファイトにもとめていたプロレスのファンタジーもなくなってしまいました。
裏ネタ、ゴシップ、スクープ、すべてを含んだモノがプロレスだったのに、いつしかプロレス自体が徹底的に管理されたテーマパーク化。
テーマパーク化は団体からすれば「是」なんでしょうけれど、プロレスにファンタジー、ぶっちゃけ、うさんくささを求めるようなマニアからすれば「非」。
さらにそのテーマパークで供給されるエンターティンメントがまた子ども騙しで、新規のファンを呼べ込めない有様。
団体が分裂し細分化し、プロレスラーのハードルが下がったことで、プロレスの下手な選手がすごく増加したからなのですが。
(リストロックすら出来ない選手が多すぎて、自分はもう見てられなくなってます)


おそらく週刊ファイトが謝罪前の、プロレスのファンタジーを伝える情念を持っていた頃なら、これらに大きな警鐘を鳴らしていたと思うんですけど、それは自分の買いかぶりすぎかなぁ。
団体や選手にきちんと批判を加える週刊紙を潰してしまったことが、新日本の凋落の原因のひとつになったと自分は思います。


自分がこういう文章を書くようになったのも週刊ファイトの影響が大きいので、休刊はまことに残念です。
昔、自分がメモライズに書いていたドクバリニッキに、当時のファイトのことが書いてあったので掲載。
やっぱりこうなるんじゃないかと予想してたんだなぁ、昔の自分。

2003/08/22(金) 12:35
週刊ファイト…の部
週刊ファイト新日本プロレスから取材拒否を受けていた件。
ファイト側が新日にアタマを下げるかたちで、この騒動に決着。

週刊ファイトといえば、取材記事よりも、関係者から得た情報や
状況から推測される記事、いわゆる"とばし記事"が得意な週刊紙で、
その団体の一歩先を行くアングルを書くことから、
マニアの間ではアングルを推測するときの貴重な情報、
プロレス団体からは、アングルの暴露をされるので、
ほぼ決定していたアングルを変えざるをえなくなるほど疎まれてる週刊紙

このとばし記事の中に事実誤認が4個所あったことから、
新日本から取材拒否を受けることになった。
週刊ファイトが事実誤認の報道をすることで、ファンに不信感を与え、
営業妨害をおこなった、そのペナルティということ。

今後の週刊ファイト
「守るべきルールを守って」
「取材において一層十分な確認に努め」る紙面を提供していくとか。

でもそれってどうなんだろう?
そういう紙面を提供していくということは
結局団体から発表されるプレスリリース以外は紙面に掲載できない、
ということだし。
週刊ゴング週刊プロレスのスタンスとどう違うのだろうか?

自分がプロレスネタをやってるから実感するんだけど、
プロレスの記事、ニュース、プロレス界の動きは
プロレス村の住人が考えてるより、まったく一般の人には届いていない。
今やマイナーもマイナー、どマイナーなジャンル。
そのマイナーなジャンルにおいて出版されてる週刊紙
とばし記事を書かれたからといって取材拒否するってのもなぁ。

プロレスの奥深さを見せつけるためには、週刊ファイトのような週刊紙をも
受け入れる度量がいるんじゃないだろうか?
虚実の皮膜の曖昧さがプロレスというジャンルの持ち味だし。

第一週刊ファイトを読むようなマニアは、ファイトで書かれてることを
鵜呑みにするような、メディアリテラシーのない人間じゃないし。

人気のあるジャンルには必ずゴシップがつきまとう。
そしてそのゴシップをも飲み込み、曖昧にしてしまえるものだけが
本当に人気のあるジャンルとなりうる。
そうであるなら週刊ファイトのような"大阪のちんけな地方紙"に
目くじら立てる必要なんてないと思うけれども。