巣立ちの話。

ちちんぷいぷい」14日の放送『NEETから卒業』。
NEET対策の就労支援のその後を伝えていたのだけど、これを見ていて、NEETにはある対策が有効なのだなぁと。
それは「親元、特に母親から引き離すこと」。
これ、男女問わず効果があるんじゃないかな?


自分は大学で社会学をやってたのだけど、家庭内で問題が起こる場合、母親に原因がある場合が多いのですね。
それは母親という役割が家庭の中ですごく負担と影響が大きいから。
お母さんは大変なのです。
その負担をどうするかを考えるのもNEET対策のひとつになるんじゃないかしら。


もちろん問題の原因は母親だけじゃなくて父親にもあります。
社会学には「役割理論」というのがあります。
その中で家庭における母親の役割は子どもの庇護。そして父親の役割は子どもを追い出すことなのです。
エレクトラコンプレックス、エディプスコンプレックス。母親と父親の役割が逆転する場合もあります)
庇護と抑圧、安心と恐れ、抱え込みと追い出し、それぞれ相反する要素がクルマの両輪のように回らないと家庭は家庭として機能しないのです。
庇護ばかりしていてはいけない。抑圧ばかりしていてはいけない。


で、家庭の機能に問題があるとわかったらどうするか?
その時は子どもを引き離すこと。
「父親−母親−子ども」という役割の"ファミリー"を「夫−妻」という役割の"パートナー"に戻してしまう。
ファミリーになったことで複雑にもつれてしまった役割を一旦リセットし、パートナーという少しだけシンプルな状態に戻してしまう。


それでは子どもが可哀想だという意見もあると思いますが、家庭の役割って何かというと子どもを巣立たせることなんですよ。
鳥や動物を見てもわかりますが、ほとんどの動物に通過儀礼、巣立ちが存在します。
子どもは保護するんじゃなく巣立たせなければいけないのです。
この巣立ちは社会に受け皿があれば別に早くても構わないんです。


社会的に受け皿を作ってしまって家庭からさっさと子どもを切り離すやり方をする国はたくさんあります。
昔の日本にもありましたし、今でも残ってるところはあります。
今の日本ではこの受け皿がないから作ろうっていうのが行政による支援。
巣立たせるにも場所がない、じゃ困りますから。


こう考えていけばわかるんですが、ひとつの問題でも結構多層に入り交じってるんですよ。
家庭だけ直しても受け皿がなければダメ。
受け皿があっても行政任せにしていてはダメ。
複合的に考えなければいけない問題なんですよね。


こういう多層に入り組んだ問題を色々な視点から考えて解きほぐしていくのが社会学
家族という単位で見たり、行政という単位で見たりね。
「何やってるかわからない学部」と良く言われますが、なかなか面白いものですよ、はい。