週刊ゴングを読んで。

週刊ゴングの5対5インタビュー、勝ったのはGK&金村キンタロータッグだと思いますよ、ターザン!さん(笑)。
こういう企画の場合、いかに選手から普段言わないような意外性のある言葉を引き出すかがカギ。
そう考えると門馬忠雄氏や竹内宏介氏は、いつもの高山善廣武藤敬司しか引き出せていないんですね。どこかで聞いた話の続きばっかり。それは高山や武藤がメディアへの露出が多いからというせいもありますが。
ならばメディアへの露出が少ない金村キンタローが一番有利。金村が語るメジャーとインディ、長州力天龍源一郎冬木弘道の話は新鮮で興味深い話ばっかりだったです。
せっかく読者投票でインタビューの組み合わせも決めたんだから、インタビューの評価も読者ジャッジにしたら面白いのに。またこの企画やって欲しいです。


で、金村キンタローインタビューで感動した部分。

たまにね、「自分もうボロボロですよ」とか言う奴いるじゃないですか。そういう奴見たら「じゃあやめろ!」と思いますよ。ボロボロだろうが怪我しようが、それを見せずにお客さんを喜ばして闘うのがプロレスラーだと思うから。
未だに言われますもんね。どうして毎日(試合)できるのって。僕は言うんです。「レスラーはタフだから、不死身だから」って。


なんかすごく感動しました。自分もそういうふうに答えられる人間になりたいなぁ。
「どうして毎日マンガが描けるの?」
「タフだから、不死身だから」って。


もうひとつ、上井氏インタビューの中での前田日明の言葉。

自分自身に"誇り"を持ってない人は"恥ずかしい"と感じない。だから"誇り"と"恥ずかしい"というのは表裏一体なんです。"誇り"がないと恥ずかしくない。"恥ずかしい"と思っているということは"誇り"を持って生きてきたということです。


これも重い言葉だと思います。
ルース・ベネディクトの『菊と刀』という著書があり、その中で「西欧は罪の文化、日本は恥の文化」と書かれているんですが、前田の言葉はこれを下敷きにしたものだと思います。(原典があるのかもしれませんが)
簡単にこの罪の文化と恥の文化を説明。
西欧には厳格なキリスト教文化があり、罪人は死後救われないという考え方があるから罪を犯さないようにする。
(例)「神様に地獄に落とされるから犯罪はおこなわない。」
それに対し日本は個人や家、自分の所属している団体などの名誉とか面子を重んじる考え方があり、その名誉や面子を汚さないために対世間に恥ずかしくない行動を心がける。
(例)「お家の名誉に関わるから恥ずかしくない行動をする。」
(間違ってたらゴメンなさい)


戦前の日本ではこの「恥の文化」が家父長制のもと機能してたんですね。何かあやしい行動をすると「我が家の恥さらしめ!!」と叱責されるような。
しかし家父長制がチカラを失い、家族と地域社会が解体され、ミーイズムが蔓延した日本では「恥の文化」はまったく機能しないんですね。
「恥の文化」の問題点はこれで、誰も見てない、誰も自分のことを知らないとなると簡単に自制心のタガがはずれちゃうんですね。「旅の恥はかきすて」ってヤツです。匿名なら暴論も言えるってのもこれかな。
本当は誰も見ていないときにこそ自制心をはたらかせなければいけないんですが。


おかしな方向に日本が進むことを危惧する前田だからこそこういう発言になるんでしょうね。
恥を知り、誇りを持ち、日本人よ高潔なれ、と。


今週のゴングは面白かったけど、紙のプロレスを読んだあとだったので、ゴングの紙プロ化が進んだなぁという印象を持ちました。