犯罪収益移転防止法案と同人誌。

あまり書きたくなかったけど、今日はこの話題。

  • 犯罪収益移転防止法案、衆院通過 今国会で成立の見通し (朝日新聞 3月23日)

http://www.asahi.com/national/update/0323/TKY200703230310.html
一部では密告義務法などと呼ばれ、反対運動がおこなわれていたようですが、自分は今までこの法案の存在を知りませんでした。
で、この法案について色々見ているうちに、この法案が「同人誌弾圧に繋がる」との意見を見て「?」と。
ではこの法律案の全文を見てみましょう。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g16605029.htm
法案反対派は「疑わしい取引」が拡大解釈される恐れがあると言いますが、法律の目的にはこう書かれています。

第一条 この法律は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、これが移転して事業活動に用いられることにより健全な経済活動に重大な悪影響を与えるものであること、及び犯罪による収益の移転が没収、追徴その他の手続によりこれをはく奪し、又は犯罪による被害の回復に充てることを困難にするものであることから、犯罪による収益の移転を防止すること(以下「犯罪による収益の移転防止」という。)が極めて重要であることにかんがみ、特定事業者による顧客等の本人確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講ずることにより、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)及び国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号。以下「麻薬特例法」という。)による措置と相まって、犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。

逆に言えば、この目的以外にはこの法案を適用しちゃダメよ、ってことです。
しかもこの法案で適用される業務範囲や届け出は第四条。第九条にキッチリと書かれています。
これのどこが同人誌弾圧に繋がるのか自分はよくわかりません。
第一、親告罪である著作権法違反に対して適用出来るのでしょうか?


最近思うことがひとつあります。
それはこういう法案が同人誌に結びつけられ、ネット世論を形成することに利用されてるんじゃないか? ということ。
例えばこの法案、素直に読めばマネーロンダリングを規制する法案です。
そしてマネーロンダリングを規制されると困る集団や団体が国内にはいます。
そういう集団を支持してる集団や団体もいます。
そういう集団や団体がネット世論の先頭に立って「弾圧が始まるぞ〜!!」なんてやるわけです。


ここで自分がネットに持ってる不信感というのがありまして、こういう「弾圧が始まるぞ〜!!」と言われたときに、「本当かいな?」という検証があまりにもないんじゃないかと。
大手ニュースサイトが書いてる。
じゃあこの情報は正しくてこれから弾圧が始まるんだろ、とニュースに乗っかる人が多いんじゃないかなぁと。
結局それってソース元が新聞からネットに変わっただけで、「新聞の時代は終わった、これからはネットの時代だぜ!!」なんて言えないと思うのですが。


新聞とネットの違いは、ネットならソースに簡単にあたることが出来るという部分で、自分はそれがネットの長所だと思っています。
自分で検証し、自分で思考の組み立てが出来るのがネットの長所。
犯罪による収益の移転防止に関する法律案へのリンクは上部にありますので、これが本当に同人誌弾圧に繋がるのか、そうはならないのか、法案を読んで皆さんで判断してみてください。