悪いのは誰なのか?

今日はこの話題かなぁ。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070221i513.htm
3年間で2億円の内訳がすべて同人誌の売上によるものかどうかわかんないのでアレですが、一時期の同人バブルみたいな売上があるサークルがまだあったことに驚き。
岩田次夫氏の著書によると、トルーパーやシュラトの頃、まだ同人誌に税金の締め付けがなかった頃はコミケ一回の参加でマンションや外車を買えるようなサークルがあったとか。
この辺、やっぱり男性向けと女性向けで違うんだろうなぁと思います。
男性向けと女性向けでは同人誌の売れ方がまったく異なるので。
男性向けは絵柄とかジャンルとか流行に左右されやすい面が現在はかなり大きくなってるので、そういうバブルなサークルはほとんどなくなったと聞いてます。


それより自分が気になるのはこうして事件になったことで、版権元がどういう対応をこの作家に対して取るのか? ということ。
著作権法違反で訴えるのかどうか?
同人誌作成を趣味にしてる人間の興味はそっちにあるのではないでしょうか。


これ、版権元も本音は対応に困ってるんじゃないかと思います。


もしこの事件で著作権法違反を問わなければ、この著作者は同人誌に対し黙認を与えることになりますよね。
自分の著作物を勝手に使われて金儲けされてもその責を問わないとなれば、それは同人誌を趣味にしてる人間から両手をあげて歓迎されるでしょう。
ですがそうすると今度はこの事件のように、利益を目的とした商行為のために大っぴらに使われる可能性に繋がります。
それはひいては海賊版の制作にも繋がるでしょう。
とすれば、絶対に黙認することは出来ないですよね。


じゃあ今度はこの作家を著作権法違反で訴えたとしましょう。
そうすると「同人誌を著作権法違反で訴えた」という事例になり、そのジャンルのすべての作品に訴えられる可能性が出てきます。
となればそのジャンルの同人誌を描くサークルは減り、ファン活動は縮小していくでしょう。
さらに「あそこの出版社は著作権に厳しい」と出版社や作品がアンタッチャブルな存在にされ、ファンから目の敵にされたりします。
本来は著作権法を違反し脱税までしたサークルが悪いのに、です。
となれば強行に訴えるのもまた痛しなんですよね。


自分は今回の事件については出版社や著作者がこの作家を訴えたとしても、同人作家としては冷静な対応をした方が良いと思うのですね。
出版社が作家を訴えたとしても出版者側を非難するのはやめたほうがいいと。
この作家が訴えられたとしても、すべての同人作家が訴えられるわけではないし、著作権法違反は個々のケースにおいて訴える側と訴えられる側との協議による線引きで決まるものですし。
著作側が訴えた!! ということだけでヒステリックになることだけは避けた方がいいと思います。


悪いのは一体誰なのか? という部分を見誤ってはいけないです。
悪いのはこの脱税をした作家。
擁護も酌量も必要はありません。