段位制度。

古参ファンと新規ファンの溝は何も『アイマス』だけの問題じゃなくて、『ストⅡ』などの格ゲーには顕著にあったし、『ときメモ』なんかのギャルゲーも抱えていた問題です。
新規ファンを流入させ古参ファンの流出を阻止するってのは本当に難しい問題だと思うんですね。


しかし、それが上手くいってるゲームというのが世の中には存在します。
しかもとても長い歴史を持つゲームが。


それは将棋や囲碁であったり、オセロやバックギャモンモノポリーといったゲームたちです。
これらのゲームはとても長いあいだゲームのムーブメントとして生き残ってきました。
それはなぜなんでしょう?


自分はそれは段位制度ではないかと思います。
段とかクラスとかいった階級制度ですね。


これらのゲームでは先日書いたような「古参ファンも新規ファンもスタートラインを同じにする」なんてことはおこなわれていません。
ただ、近いレベル同士の人間が試合をするということがおこなわれています。
この近いレベル同士の人間が試合をするという制度が段位制度や階級制度なんですね。


段位制度や階級制度を採用しているゲームでは古参ファンと新規ファンがガチンコで戦う局面というのは基本的に存在しません。
古参ファンは古参ファン同士、段を持った者で試合をおこなうし、新規ファン、すなわち初心者は初心者同士で試合をおこないます。


初心者は初心者同士で戦うことで勝ったり負けたりし、そのゲームの面白さに気付いてレベルをステップアップしていきます。
そして経験を積むことで有段者と戦えるようになるんですね。
これがいきなり初心者が有段者と戦ってケチョンケチョンに負けたらどうでしょう? 「つまらないや」と投げ出すでしょう。


有段者も「必ず勝てる試合」ということで初心者と試合をするのはストレス発散になるかもしれませんが、己のレベルアップのためには初心者より自分と近いレベルの人間と勝負した方がいいですよね。


つまり、ゲームの面白さを理解し、成長してもらうにはある程度近いレベル同士で競い合うことが必要なんです。
自分が将棋や囲碁にあって、ネットゲーにないのはこれだと思うんです。
ネットゲーではレベル差がバラバラな人間同士がすべてひとつの枠に入れられていて、レベル1もレベル99も同一線上で戦っています。


これはネットゲーの美しい点でもあると思うんですよ。
レベル99の人間がレベル1の人間を導いてやり、ゲームの楽しさを教えるということができるのは。
古参ファンと新規ファンとの協力、これはネットゲーの「利」の部分です。


しかし今、各ネットゲーの古参ゲーマーにそういう「新規ファンを導いてあげる」という意志があるかというと、自分は「?」にしか見えないんですね。
単に新規ファンを食い物にすることしか考えてないんじゃないかと。
新規ファンもバカじゃないので、自分が食い物にされると思えばそんなゲームなんてプレイしないですよね。
結果、β版からプレイしていたゲーマーだけが残り、正式版がリリースされても新規ファンの流入がなく、ユーザーの数はβ版の頃のままってネットゲーも多いんじゃないでしょうか。


古参ファンと新規ファンの間に最初に付いた差は埋まらない。
これがネットゲーの「害」の部分だと自分は思います。


古参と新規で付いた差は埋まらない。
そうであるなら囲碁や将棋のように、レベル差の違う人間同士は試合をさせないような、そんなシステムがネットゲーにも必要なんじゃないかなぁ。
囲碁や将棋の段位制度はムーブメントの維持のためによく考えられた制度だと自分は思いますよ。