減ってるのに減らないものなぁに?

今日はこの話題を。

  • 新聞を読まなくなった日本人 (社会実情データ図録)

http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/3957.html
それじゃあ新聞の発行部数は減ってるのかというとそうでもないみたい。

  • 新聞の発行部数と世帯数の推移 (日本新聞協会)

http://www.pressnet.or.jp/data/01cirsetai.html
読む人が減ってるのに部数は下がっていない。
これ、皆さんも実感として違和感があるんじゃないかと思います。


なぜ読む人が減ってるのに部数は下がらないか?
それはこの日記でも散々取り上げている「押し紙」のせいです。
新聞社はあくまでも販売所に新聞を売ってる(卸してる)のであり、読者に直販してるわけじゃないので、読者が減ろうがどうしようが知ったこっちゃないのです。
減った分は押し紙として販売所へ押しつければ済むのです。
これが読む人が減ってるのに部数は下がらないカラクリ。


でもこの押し紙もそろそろ維持できなくなってます。
それは新聞販売所が経営していけなくなってるから。
押し紙の増加と折り込みチラシ部数の減少で収入は減ってるのに、配達員や集金人を集めるために人件費が高騰してるから、収支のバランスがすでに破綻してしまい、まともな経営者ではやっていけない状況になってます。


宅配制度の維持はすでに無理。
そうすると新聞に残された道はふたつ。


ひとつは新聞をネットに移し、課金制で記事を公開すること。
もうひとつはやはり新聞をネットに移し、テレビのようにCMを掲載し、誰でもタダで読めるようにすること。
自分はこのふたつしか新聞が生き残る道はないんじゃないかと思います。
でもこのふたつ、現行の新聞社にとっては問題が大きすぎるんですよね。


まず課金制にしてしまうと、今までのような新聞社の体質ではやっていけなくなります。
販売所へ押し紙を押しつけるシステムであれば、新聞社の社員が不祥事をおこそうと、記事の盗用をしようと、記事を恣意的にトリミングしようと、反日記事を書こうと何の問題もありません。
コンプライアンスなんてあって無きがごとしで、記者会見の場で「人が死んでんねんで!!」と声を荒げようが、犯罪被害者の名前と顔写真を公開し、メディアスクラム二次被害を出そうがお構いなし。
だって押し紙があれば何をしようが売上が下がらないから。


でも課金制にすると、記事の内容や企業としての姿勢が直接売上に繋がります。
押し紙に守られた何の競争もない世界から、課金制という激烈な競争に新聞社が放り込まれたらひとたまりもないんじゃないでしょうか。
少なくとも記者クラブ発表で横並びの記事を書いてるようじゃ、記事の差別化が出来ないので生き残れないでしょうね。


じゃあ課金制はやめだ、スポンサーを見つけてCMを出してもらおう!! とすると、今度は報道の公正さが保てないでしょう。
今でも新聞社はスポンサーの顔色を見ながら記事を書いてるのですから。
どっちにしろネットに新聞を移すのは難しそうですね。


そうすると新聞社がやらなければいけないのは宅配制度の維持。
そのためにやらなければいけないことがふたつあります。
まず押し紙をやめ、販売所がきちんと経営していけるようにすること。
もうひとつは記者が自分の記事が売上に直接繋がってるんだという自負を持つこと。


でも押し紙を認めればとんでもないことになるし、自分の記事が直接売上に繋がるんだという気構えを持ってる記者は独立しちゃうだろうし。
今のままでは新聞はもうやっていけないんじゃないかなぁ。