大四畳半物語

今日の一冊。


『ワセダ三畳青春期』(著:高野秀行、発行:集英社


オーケンおすすめの一冊。
三畳間なんて今の若い人たちは知らないだろうーなぁというか自分も三畳なんか住んだことないですが。
早稲田大学の正面から徒歩五分、野々村荘の三畳一間に住み着いた、早稲田探検部の高野氏の青春記。


三畳間物語というと1960〜70年代を想像しますが、高野氏が三畳に住み着いたのが、バブル真っ最中から不況を転げ落ちていく1989年から2000年までの11年間。
21世紀に三畳間が東京に存在していたことに驚きます。
三畳間を持つ野々村荘が21世紀まで存在できたのは「雨漏りがしてどうしようもなくなるか、地震でつぶれたらやめるしかないけれどねぇ…」と答える豪気なおばちゃん大家さんのおかげ。
なんというか、古き良き日本、ドラマの世界にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。


野々村荘の奇妙な住人たち、探検部の先輩・後輩たち、そして大家のおばちゃんに高野氏が野々村荘で巻き起こす色々な騒動が本当に面白くて。
何にも考えずバカなことだけしててもよかった、大学時代のモラトリアム期を思い出します。
若い頃は今よりもっとバカだったなぁ。


自分も浪人〜大学時代は下宿してたので、その期間は色々なことがありました。
当時はつらいと思ってたんだけど、今思い返すとどれもこれも楽しい思い出ばかり。
当時に『銭形金太郎』があったら絶対に出演してたなぁ(笑)。
貧乏でろくでもない生活をしてたことを思い返してニコニコしてしまいます。


ワンルームマンションでオシャレにきめきめな学生生活じゃなく、貧乏でろくでもない下宿生活を送った、送っている方なら楽しく読めてニコニコしちゃうこと請け合いの一冊です。
ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)