自炊のルール化をした方がいいんじゃないかな?

昔の日記を読み返していて、こういうことを書いてたんだなぁと。

  • パソコンって面倒くさい(2008年7月1日)

http://d.hatena.ne.jp/bolt69/20080701
パソコンでマンガを読むことの面倒くささを書いてたのですが、この面倒くささを解消してくれるのがiPad
パッと出してサッと起動してスッとマンガが読める。
そりゃiPadにハマるわけだわ、自分。


iPadでマンガを読むことについて、見開きで書かれたページをどうするかとか色々問題はありますが、自炊したマンガを読んでいて気付いたというか新鮮に思ったこともありまして。
本だと背表紙側の閉じてる部分の絵が見づらいのですが、自炊してiPadに入れると1ページが平面で見られるので閉じてる部分の絵もちゃんと見ることが出来てなかなか新鮮。
電子書籍で読まれることを前提にした文法で描かれたマンガが出てくるのももうすぐじゃないかなぁと思います。


んで、昨日の日記で

週刊アスキーで連載されている歌田明弘氏の『仮想報道』。
いま特別編「日本版電子書籍は成功するのか?」が掲載されてますが、こういう自炊についても取り上げるのかしら?

と書いた件。
自分は何度かあった「電子書籍元年」のうち、今年の元年は今までのものと違うと思ってまして。


今までの電子書籍元年って上から下への流れ、「出版社から読者へ」とか、「ブックリーダー販売会社からユーザーへ」という流れだったんですよね。
「企業から消費者へ」と言い換えてもいいと思いますが。
だから電子書籍って企業の立場・利益が優先されていて、消費者のことはまったく考えられてませんでした。
消費者にとって使いづらい、利用しにくいものだったから電子書籍はまったく見向きもされなくなって「今年は元年」という言葉も虚しく、色々なブックリーダーやサービスの廃墟を築いてきたんですよねぇ。
某Gラパゴスも既に廃墟のニオイがプンプンしてますけれども。
(目指してる未来は確かに「消費者が欲しがってるモノ」とは違いますね(笑))


で、今年の元年の何が違うかというとiPadの登場。(ここまで来ると信者だな(笑))
iPadって日本の出版社やメーカーがやってきたような、押しつけた本しか入れられないんじゃなく、何でも入れられます。
言ってみればiPadって単なる画像ビューワーだから、画像ファイルならなんだって構わない。
日本の出版社やメーカーは、ブックリーダーには「ウチでダウンロードしたファイルしか入れられませんよ!!」ってやってるのですが、iPadは「iPadで表示出来ないかもしれないけれど入れてみたら?」ってオープンなんですよね。
だから自分で画像ファイル化したものをiPadに入れて閲覧する、電子書籍の自力作成が可能になりました。
これが今までの元年と決定的に違うところ。


マンガが前提ではありますが、電子書籍の自力作成が可能になった。
しかも労力はちとかかるけれど、出版社やメーカーが作ったもの以上の仕上がりで作ることが出来る。
これがどれだけ恐ろしいことか、わかる人はいるでしょうか?


わかる人にはわかると思いますが、そう、あとは自炊する人の良心にしか頼るところはないんですよ。
核ミサイル発射ボタンを預けられた大統領のように。
悪い考え方を持った人間が自炊し、それを細菌兵器をまくかのごとく大量に拡散したら…?
マンガが前提での話なのでマンガに話を限りますが、これ、やられたらマンガ家というクリエイターの大虐殺ですよ。


で、自炊がまずいと思うのは自分が悪いことをしてるということを自覚してる人はともかく、自覚なく無意識に拡散させる可能性もあることです。
自炊する人全員が全員きちんとした法律的知識と運用方法を知っているわけではありません。(自分も)
むしろ今までの本と同じように考えてしまう人の方が多いのではないでしょうか?


1冊の本を家族全員で読む場合のデータの運用は?
友達にデータを貸してくれって頼まれたら?
などなど。
本人的には善かれと思ってデータの複製を作ったらどうなるか?
やろうと思えば誰でも自炊出来てしまうので、子どもがそれをやってしまったらどうなるか?
考えれば考えるほど自炊ってとても危険で問題があるんですよ。
自分はその危険性をもっと啓蒙し、ルール化して教えていった方がいいんじゃないかなぁと思うのですが。


今までの電子書籍元年と違い、今年の元年は消費者が自力で電子書籍化出来るようになった。
そしてそれにはメリットとともにこんなデメリットもある。
それを論じずに終わると日本では電子書籍アンダーグラウンド化して取り返しがつかなくなるだけだと思いますけども。


某GラパゴスやK川書店の電子書籍販売がどういう態度に出るかで日本の電子書籍がアングラ化するかどうか決着するんじゃないかなぁ。
既刊ばっかりで人気作の最新刊はなく、値段が本で買うのと変わらなかったら一気にアングラ化するだろうなぁ。


「自分で電子書籍化した本をiPadで読めるようになった。」


ただこれだけのことがどれだけ大きな影響を与えるか、出版社は本当に考えてるのかなぁ。
出版社は気付いてるかな? 人気作の最新刊こそ自炊の対象になることを。


とりあえず今は性善説を信じたいですね。