新聞奨学生のメリット・デメリット。

んで、新聞奨学生の話の続き。
もう今年は四月に突入しちゃったので、今年度から新聞奨学生を始めた方々には「がんばってください」としか言えないのですが、来年度以降に新聞奨学生をやってみようかなぁという方々に、新聞奨学生のメリット・デメリットの話でもしてみようかな? と。
新聞奨学生も悪いところばっかりじゃないよ、ということで。


メリット・デメリットを書いては行きますが、これも優良店と劣悪店では条件がかなり違うということをお知らせしておきます。
まずはメリット。


1.大学の近所に住居が提供される。


オイラ的にはこれが一番のメリットかな?
もちろん優良店ならワンルームのマンションの可能性もあるし、劣悪店だと店舗二階のタコ部屋の可能性もあります。
でもこれ、地方から出てきて都内とか府内の大学に通うときの大きなメリットだと思います。
何しろ敷金・礼金を払わなくて済むし、基本的に大学に近い店舗に配属してくれるので通学が楽だし。


2.就職に困らない。


もちろん悪い意味でですが、これもメリットだと思います。
新聞奨学生は若いし、体力もあるし、働いて大学に通おうっていう真面目な方々が多いですから、1年も働いてればその店のエースになります。
その先に待ってるのは専業、そして所長への道(笑)。
いや、本当に新聞奨学生から専業になっちゃう人、かなり多いです。
あと、新聞奨学生をやっていて、卒業して普通の会社に就職しても、会社を辞めて専業になる人も少なくないです。
(人間関係の煩わしさを考えると新聞配達ほど楽な仕事はないと思います)


メリットってこんなところかな?
少なっ!?
じゃあ、デメリット。


1.就職活動が出来ない。


夕刊を休ませてくれる理解がある店なら就職活動は出来ると思うんですけどね。
これは本当に店次第ですが、オイラは出来ないんじゃないかなぁと思います。
今は夕刊がない地域も増えたからそうでもないのかもしれませんけど。


2.履修できない科目が出てしまう。それが必修だと目も当てられない惨状に。


これも夕刊が休めないという上での話。
教職課程とか、理系の必修なんかは夕方に授業があることが多いので、夕刊が休めないと…、ね?


1.2.の夕刊が休めないことについて、奨学会事務局に相談するという手もありますが、オイラはあんまりうまくいったという話を聞いたことがないです。
(奨学生がオーナー店、あるいは傘下の店舗に配属された場合、力関係が「オーナー店>事務局」なので。事務局から「所長と話し合って自分で解決して欲しい」って言われて、結局辞めちゃった人間なら何人も知ってます)


3.大学が「学ぶ場」になります。


いいことじゃないかって? いやいや(笑)
これもお店次第の部分はありますが、サークル活動はまず無理。部活も無理。
3時には夕刊配達が始まるし、そのあとチラシの丁合があるし、さらに人によっては集金もあるし。
しかも朝も3時には朝刊配達が始まるから飲み会なんていけないし。
そういうストイックなのが好きっていう僧にはいいかもしれないけど。


「自分は大学で○○を学びたいんだ!!」っていう強い目的意識を持ってないと、完走はまず無理。
「キャンパスライフでフワフワァ〜☆」ってのは新聞奨学生には期待しない方がいいです(笑)。


4.辞めにくい。


これが一番のデメリット。
育英会を見てみると、奨学金だとか貸付金だとかシステムが複雑でわかりにくくなってますが、学費は基本的に借りたお金なので返さねばなりません。
今はいくつかの育英会では違うようですが、基本的に学費の返済は辞めるときの一括返済です。
これが新聞奨学生が「現代の奴隷システム」と呼ばれてるゆえん。


ちょっと考えてみてください。
新聞奨学生制度を利用しようと思う人は大部分が入学金や学費を自分で調達することが困難な人たちです。
そういう人が辞めるときに学費を一括返済出来るでしょうか?
出来ないですよね。


労働条件、居住環境が劣悪な店に配属された場合、育英会事務局は何もしてくれないし、店側も改善する気がない。
だったら心身が壊れる前に辞めたくても辞められない。
これがどんなに恐ろしいことか考えてみてください。
これを奴隷といわずして何を奴隷というのか。


新聞奨学生の思い出や体験を書きつづったブログやネットエントリを見ていると、「こんな酷い環境なんてあるわけない、ネタだろ?」と思うようなモノがあると思います。
でもね、それは100%真実だと思った方がいいです。
いや、それよりも語られない酷いエピソードの方が多いくらいです。


新聞奨学生のことを書くと「いや、そんなに酷いことはなかった」と反論をいただくこともあります。
でもね、この新聞奨学生の問題って、「奨学生が直接受けた待遇の善し悪し」じゃなく、「優良店と劣悪店が混在してて、その待遇を自分では選択出来ないし改善も出来ないことが問題」だと自分は思うんです。


じゃあ、なぜ新聞奨学生全員が優良店なみの待遇を受けられないのか?
じゃあ、劣悪店に配属された人間は自分の運の悪さを泣いて伏して嘆くしかないのか?


待遇が良かった、悪かったの問題じゃ断じてないんです。
じゃあ、なぜその待遇の差が起きてるのか? それが問題だと。
悪い待遇を受けた場合に改善する方法がない、それが問題だと。


押し紙については世間の認知度も上がってきたけど、新聞が絶対に取り上げないこととして新聞奨学生についても書いていかなければいけないなと思っております。