パソコンって面倒くさい。
今日はゴルゴ31さんのところを通じてこの話題。
- 60年積み上げたマンガの演出技法は「紙」が前提になっている。(agehaメモ)
http://d.hatena.ne.jp/ageha0/20080628/p1
2000年頃、ADSLが普及しだし、安価に常時接続できる高速回線が登場したことでWEBマンガは"容量"という規制からは解き放たれたんですよね。
それ以前のテレホーダイ時代は画像データが100Kぐらいでも重いと言われていたし、モデム64K、ISDN128Kという回線速度では10ページ程度のマンガでも2〜3ページも読んだら「あーっ!! 遅くて読んでられねぇっ!!」ってもんでした。
だからブロードバンドの普及はWEBマンガ描きにとっては光明みたいなものでした。
もちろん読み手にとっても。
この高速回線のおかげでWEBマンガはどんどん普及していくんじゃないか? ということを2000年頃の日記に書いた記憶があります。
あと「今のマンガは紙媒体での文法で描かれているから、これからはネット用の文法もあらわれてくるだろう」とも。
あれから8年か…。
8年も経てば色々なWEBマンガのインターフェースもこなれてきて読みやすいWEBマンガの文法も出来てそうなものですが、なぜいまだに竹熊氏のように「読みづらい」という意見が多いのでしょう?
なぜWEBマンガはいまだに読みづらいのか?
それはパソコンでWEBマンガを読むには紙媒体でマンガを読むときよりも煩雑な手順を踏まないといけないからだと思うのです。
何よりパソコンでWEBマンガを読むにはパソコンの前に座らなければいけない。
紙媒体なら電車の中でもトイレでも布団の中でも読めるのに、WEBマンガはパソコンというものが必要となります。
自分はこの差が滅茶苦茶大きいと思うのですね。
じゃあ、携帯電話でWEBマンガはどうよ? となっても、これも本より読む手順が煩雑だし、何より表示できる情報量が少なすぎるし回線速度が遅いしお金がかかりすぎます。
そう考えると「本」という形態がマンガにとってのインターフェースとしてとても優れていることが逆にわかるのでは?
それではWEBマンガはどうなっていくのか? ずーっと紙媒体の文法で描かれて読みにくいままなのか? と言われると、うーんと唸るしかないのですが。
2000年頃の日記には「若い人に任せたい」という丸投げな意見を書いてましたが(笑)。
ただね、パソコンを使ってる人にとっては(自転車に乗るように)すでに無意識的に踏んでる手順は、どう考えても面倒くさい手順であることを認識しておかないといけないと思うのです。
パソコンを使える人は認めたくないかもしれないけれど、パソコンって面倒くさい。
だって電気がないと動きすらしないんですよ。
文字入力するときはキーボードの文字の位置を覚えて、いちいちキーを叩いて、スペースキーで変換して、意図する文字に変換されるまでキーを叩かなきゃいけないんですよ。
WEBマンガを読むときはブラウザを開いて、お気に入りからページを開き、読みたい漫画をクリックしなくちゃいけない。読み進めるためには「進む」を探してクリックしなくちゃいけない。
それに対して紙媒体のマンガは本棚から取り出してページを開くだけ。
そう考えるとパソコンとはなんと面倒くさい道具であることか。
この面倒くささをどうするかがWEBマンガ以外にもネットの課題なんじゃないかなぁ。
そういやシグマブックなんてのもありましたね。
あれ、今の時代に無線LAN対応機で再発売したら売れるんじゃないの? と思ったり。
今なら無線LANスポットも多いから、いつでもどこからでも好きなときにマンガをダウンロードすることも可能だろうし。
今年の9月にシグマブック用データ販売サイトが終了するので、実質的にはシグマブック終了なんですけれども。
シグマブック終了について考えてみるのもこれからのWEBマンガを論じる上で参考になるんじゃないかなぁと思います。