マンガ投稿サイトに顧客満足度はあるか?

コミックスタジオを販売しているセルシスが運営していたマンガ投稿サイト「コミックアジト」が閉鎖。

http://www.comicstudio.net/agito/
IT業界のことですから、採算に合わない、商売ベースに乗らないってことが閉鎖の理由だと思いますが。


色々なマンガ投稿サイトがあると思うんですが、ほとんどがアジトのように閉鎖。あるいは苦戦中。
それはなぜなんだろう? と考えると、やっぱり投稿作品が集まらないことに尽きると思うんです。


じゃあ、なぜ投稿作品が集まらないのか?


まずひとつめの理由は「金」。


腕に覚えがある人なら即売会や委託書店、通信販売でマンガを売った方が金になりますし、アフィリエイトで金を稼ぐことも出来るでしょう。
もちろんプロ作家を目指して出版社に持ち込みをかける人もいるでしょう。
そんな人たちに貰えるかどうかわからない賞金をぶら下げたり、自費出版のお手伝いをしますよと言っても一蹴されるだけ。


ふたつめの理由は「充実感」。


例えば自分なんかは「金」のためじゃなく、たくさんの人に自分のマンガを読んで欲しいと思ってマンガを描いてます。
マンガを見てもらうことで楽しさを提供させてもらってる、という充実感のため。
そういう人たちにとってはマンガ投稿サイトは意味のあるものでしょう。
たくさんの人の目に触れる機会を与えてくれるわけですから。


だけどマンガ投稿サイトのアクセス数や作品閲覧数を見ると、とても少ない。
おそらく大手〜中堅のニュースサイトにすら負けてるんじゃないかな?
だからマンガを投稿しても作者が期待したアクセス数を得られない。
そうすると「マンガを見てもらってる」充実感は薄くなりますよね。


金は得られない、マンガを見てもらってるという充実感も得られないじゃ、誰も投稿しませんよ。


それじゃあ、どっちかだけでも得られる方法があるんじゃないか? と思ってたら、こういうものに行き当たりました。

  • YouTubeキラー? 報酬がもらえるコンテンツ投稿サイト

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0607/03/news073.html
他にも投稿者や批評者には必ずポイントを支払うシステムとか作ればいいんじゃないかな。
こういう方法を採れば、とりあえず金銭の部分は満たせますよね。


これで力作が集まるようになり、投稿数が増えればそれなりにアクセス数も増えるだろうし、アクセス数が増えることで「見られる場」が整えば、充実感でマンガを描いてる人も投稿するようになるんじゃないかな?


と、ここまで書いたのが前日。
下から日をあらためて書いてます。


じゃあ「なぜマンガを描いてるんですか?」と聞かれたら、自分はどう答えるだろうと少し自問自答してみました。
そこで思い至ったのがやっぱり充実感のためなんじゃないかなぁと。


プロになることに充実感を感じる人もいれば、プロや商業同人でお金儲けすることに充実感を感じる人もいる。
たくさんの人に作品を見てもらうことに充実感を感じる人もいれば、今まで描けなかった絵が描けたり、高い技術を身につけることに充実感を感じる人もいる。
作品を発表して色々な人と交流を持つことに充実感を感じる人もいる。


十人十色の充実感があり、人はその充実感を満たすために行動するんじゃないかなぁと。
そうであるなら、今までのマンガ投稿サイトはその充実感を満たす努力をしてきたのかな?


充実感を満たす行為は、顧客満足度と言い換えることが出来ます。
今までのマンガ投稿サイトは顧客満足度を高める努力をしてきたのかな?
してないから淘汰されていってるんじゃないかな?


「編集者側がこうしたい」という姿勢でマンガ投稿サイトを作ってる限り、一本立ち出来るサイトは作れないと自分は思います。
投稿する作家側がどういう投稿サイトを求めてるか、そして読者はどういうものを求めてるか?
それを考えて顧客満足度を高める工夫をしないと、マンガ投稿サイトは編集者ごっこで終わると自分は思います。