新聞の特殊指定をご存じですか?

某新聞社が暴論を振りかざしネットで失笑を買うたびに「今年は何件販売所が閉鎖するんだろうなぁ」と思ったりします。
先日新聞社の押し紙について書いたのですが、いまこういうことが起きているんですね。

  • 新聞の「特殊指定」見直し問題 言論文化守る基盤/新聞宅配揺れる(毎日新聞ユニバーサロン)

http://www.mainichi.co.jp/universalon/clipping/200603/018.html


今まで新聞は公正取引委員会から特殊指定を受けていたおかげで価格が守られてきました。
しかし今後は新聞を特殊指定から外しますよ、と。
そうするとこんなに問題が起きますよ、だから特殊指定を外さないでねということを扱った記事です。


しかしこの特殊指定から外さないようにする記事の裏側、新聞社の本音は押し紙が出来なくなるからじゃないの? という意見。
押し紙の件を言わないのはアンフェアだ、と。

  • 新聞販売黒書

http://www.geocities.jp/shinbunhanbai/

  • 新聞業界ってオモシロイ!? 今だけ委員長の独りごと

http://minihanroblog.seesaa.net/


ちょっとややこしいのですが、自分の拙いアタマでまとめてみます。


公正取引委員会が特殊指定で新聞に禁止しているのは次の3つ。

地域や相手によって
(1)新聞社が異なる定価をつけたり、割り引いたりする(教材用や大量一括購読者向けなどは除く)
(2)販売店が定価を割り引いて販売する
(3)新聞社が注文部数を超えた新聞を販売店に供給する

これが"禁止"されているのです。
ですが今は規制緩和の動きの中にあり、新聞だけ価格が守られている状態はおかしいし、何より新聞の特殊指定自体が形骸化しているので廃止しますよ、というのが公取委の言い分。
しかしこの禁止がなくなると新聞が価格競争に巻き込まれ、販売店は潰れて宅配制度が維持できなくなり、国民の知る権利を守り、情報の供給が出来なくなるというのが新聞社の言い分。


しかし新聞社が販売所に潰れてもらっては困る理由ってほかにあるんじゃないの? というのが先ほど紹介したサイト。
というのも配達するのは別に新聞販売所でなくてもいいのです。
宅配便業者や郵政公社といった配達を専門とする業者であってもいい。
価格の維持については再販制度があるので、配達の専門業者と再販契約を交わせば済むこと。
公取委再販制度があれば特殊指定がなくても問題ないんじゃないかという考え。
だから「宅配制度が維持できない」ってのは理由にならないんじゃないの? と。


しかしそういうふうに新聞社と配達業者が契約できるようになると困るのが「押し紙」です。
専業の契約販売所ではなく配達業者が新聞を配ることになると新聞社は押し紙を押しつけることが出来なくなります。
押し紙ができなくなれば部数は減り、減収するのは明らかです。
新聞社が特殊指定から外されるのを嫌がる本当の理由は宅配制度の維持じゃなく押し紙制度じゃないの? 
問題をすり替えちゃいかんよというのが先ほど紹介したサイトの方々の意見。


まとめが間違ってたらごめんなさい。


ややこしいのは、じゃあ押し紙の苦痛にあえいでいる販売所にとって特殊指定ってのは何なんだということなんですね。
(3)で押し紙が禁じられているのに現実は山ほどの押し紙を押しつけられています。
なのに特殊指定が解除されて押し紙が合法化されればどうなるか。
価格が自由化されるとどうなるか。
販売所が潰れるのは明らかでしょう。
だから販売所としても特殊指定から外されるのは困るわけです。


うーん、またややこしくなってきた。
ものすごく大雑把に自分なりに特殊指定の問題をまとめます。


新聞社は押し紙の件があるので特殊指定をアンタッチャッブルにしておきたい。
だから公正取引委員会は特殊指定に触れず、禁じられていることは何ひとつ守られていません。
そのために販売所は苦しみにあえいでいます。
それを無視して特殊指定を外すってのはどういうことなんだ、と。
公正取引委員会って何のためにあるんだ? と。


もっと実態を公表して、是正することがあるでしょう? と。
押し紙問題とか。
公取委はちゃんと仕事せい!!


…といったところが自分なりのまとめかなぁ。