個人VS企業。

25日に放送されたNHKスペシャル「どうしたら買ってくれるのか〜巨大スーパーの模索〜」がとても面白かったです。


ウチのホームページの前身『nijino World oredr』は98年開設なのですが、その頃はCGI、いわゆるチャットや伝言板を置くことが非常に難しかったので、それらを自身で置くことができれば人気のあるホームページを作ることができました。
これらはいわゆるパソコン通信の延長上にあるもので、パソコン通信だと制約が多すぎるし、敷居が高くて参加しにくい、というインターネット初心者を取り込んで非常に発達しました。
著名サイトでは夜な夜な伝言板で活発な意見交換がおこなわれ、定期的に開催されるチャットではサーバーが負荷に耐えきれず繋がらないなんて状態でした。


しかし自分はその状態は長くは続かないと思っていたんですね。
伝言板やチャットを中心にした、いわゆる「コミュニケーション系サイト」は絶対に行き詰まると思っていました。
(99年〜00年にかけて書いた日記ではそのことを書いてます)


その理由は、伝言板やチャットって、スーパーでいうと店舗というハードなんですね。
とにかく店舗を建てれば、その中で何を売っていようと人が来てくれる時代。
しかし自分はそのうちその店舗の中で何が売ってるか、商品というソフト・コンテンツが吟味される時代が来るだろうと思っていました。
ネット世界は実際その通りになりまして、個人で伝言板やチャットを苦労して作らなくてもプロバイダー謹製でそれらが出来、メーカーや作家のオフィシャルページでそれらが出来ると、伝言板やチャットだけしかない「コミュニケーション系サイト」は軒並み壊滅してしまいました。
さらに誰でも簡単に開設できて意見が発信できるブログや、同好の士だけで居心地の良いコミュニティを作ることができるmixiが登場したことで、それら個人サイトは完全に死に体です。


いまやCGIに目を向ける人なんて誰もいないでしょう。
「誰でも簡単に伝言板が置ける!!」なんて謳い文句が人を集めていた時代を遠く感じます。


結局、店舗なんて資金と技術があれば誰にでも建てられるものなんです。
そこに個人より資金と技術があるプロバイダーが乗り込んでくればどうなるかは目に見えてわかることなんですね。


しかし売れ線の商品を並べることはプロバイダーでも難しいのです。
いまプロバイダーは必死に各種コンテンツを増やしてますが、どれもこれも決め手にかける状態です。


で、先日気になったことがありまして。
ウチのページ、iswebの「新着オススメホームページ」に登録されたみたいで、そこから見にいらっしゃる方が増えています。
これ、数字は明かせませんがかなりの数です。


ここからおバカの意見なのですが、プロバイダーが自分のところに開設しているサイトをある意味自分のところのコンテンツとして考え出したらどうでしょう?
「ウチにはこれだけのサイトがありますよ〜。コンテンツ豊富でしょう〜?」みたいな感じで。
「こういうサイトがウチには登録されてますよ〜。だからあなたもウチに開設してみては?」なんてのがあれば、サイトがサイトを呼ぶことにもなるでしょうし。
そのプロバイダーに大手サイトが開設していれば、これはかなり強力なキラーコンテンツになるでしょう。
それにプロバイダーが気づけば大手サイトの囲い込みなんてことも起きるんじゃないかなぁと思ってます。


さらに言うとポータルサイト化を目指すプロバイダーが自分のところに開設してるサイトを、ニュース系サイトのように紹介しだし、囲い込みをおこないだしたらどうなるでしょう?
自分のところだけではなく他のサーバーのサイトも、ユーザー登録した人のお好みでニュース系サイトのように表示し出すサービスを始めたら?
そういうサービスは実際「はてなアンテナ」でもやってますし、自分もニュース系サイト巡りをするよりアンテナのチェックで済ますことが多いです。
そのとき、以前伝言板やチャットであったコミュニケーション系サイトでの個人VSプロバイダーの図式がニュース系サイトでも発生するんじゃないかなぁ。


以前自分はニュース系サイトを店舗だと書きましたが、そうであるなら一層中身が大切になってくるんじゃないかなぁと思います。


WEBコミックを描いている自分は言ってみれば店舗に商品を納めるメーカー側なのですが、そのメーカーに対してプロバイダーという店舗が商品を納入してくれ、個人サイトという店舗より良い条件ですよ、と言ってきたとき、ニュース系サイトはどうなるのかなぁ。
例えばYahoo!なんかがニュース系サイトに変わるサービスを打ち出したら?
WEBソムリエってのが何人かいて、その人間が「今日の見所はこれでございます」なんて、個人ページを紹介しだしたら?


大手ニュース系サイトがプロバイダーの傘下に取り込まれる、買収を受けるということもありえないことじゃないなぁと思ってますが、その辺どうなんでしょうね。
個人VS企業という図式になったとき、ニュース系サイトは生き残れるのでしょうか。