『絶望に効くクスリ』五巻。

今日の一冊。

夏コミ終わりで靴底のようにすり減らした心に良く効きました。
特にデービッド・ブル氏の話は良く効いたなぁ。


自分は「こうなったらいいなぁ」みたいな考えがひとつありまして。
ここに描いたら「またバカがバカなこと書いてる」と一笑に付されるでしょう。
でも書いちゃえ。


それは定年退職したお父さんや、子育てが終わったお母さんが「ちょっとマンガでも描いてみようか」と思ってくれればどうだろうか? と、そんなことを思ったりします。
会社員や自営や主婦でもいいんですが、マンガを趣味として描く人たちがあらわれてくれればどうかしら、と。
カルチャーセンターに習い事を習いに行くかのように、ちょっと描いてみようかしらん? と。


マンガが表現手段であるなら、それは若者だけのものじゃないと思うんですよ。
商業マンガを描くには、そりゃ年齢とか色々ハードルがあるとは思いますが、「マンガを描くこと」だけに関しては年齢も何も関係ないと思うんですよね。
デービッドが「私は日本の版画が大好きです。自分で作りたい!!」と言うように、「私は日本のマンガが大好きです。自分で描いてみたい!!」と思う人たちがたくさん出てくればいいんじゃないかなぁ。
出版社はマンガ賞にシルバー部門とか作ったらどうでしょう?
他にも60歳でコミケデビューとかあったりしてもいいんじゃないかなぁ。
実際、そういう定年退職を迎え、第二の人生を歩み出す年齢からマンガを描き始めた人がいたら是非自分はお会いしたいです。
そして自分に希望のライムを与えてください。


マンガというのが文章や音楽と同じような表現活動であるなら、その表現方法は自由だと思うんですよね。
よく「マンガなんて描けない」という意見を耳にしますが、それって商業マンガのマンガを目指すから描けないだけ。
で、よくあるマンガの批評ってのも商業マンガのテンプレートを持ってきて、このテンプレートから外れてるからダメ!! みたいな減点方式なんですよ。
だからみんなマンガを描くこと、それを見せることに臆病になるし、商業マンガのテンプレートで描けないから年寄りはダメ!! みたいなことになってるんじゃないかなぁ。
自分はマンガってもっと自由な表現方法だと思いますよ。


なんというか、マンガを描く人も読む人も競争しすぎなんじゃないかなぁ。
もしくは競争させられてるというか。
コミケって建前上は「楽しむ場」ですが、その中に放り込まれるとぶっちゃけ「競争の場」なんですよねぇ。
その目に見えない、口に出せない競争の圧力で靴底のように心が擦り切れるわけで。


森毅氏のようにはんなりと、自分もマンガを描くことを楽しめるようになりたいなぁ。