衣替え。

6月1日は衣替えということで、この記事。

  • なぜ日本のビジネスマンは、スーツにネクタイを捨てられないのか

http://smallbiz.nikkeibp.co.jp/members/COLUMN/20050411/105907/


この辰巳渚氏という人はビジネスマンの中で働いたことがないからこういうことが言えるのだと思う。


なぜビジネスマンがスーツにネクタイを捨てられないかというと、ビジネスの世界には単純に年功序列がいまだに根深く残ってるから。
ナベツネホリエモンを叱責したかのように「この若造が!?」と発言するおっさんたち。
「人に会うのにTシャツはあり得ないだろう!?」と発言していたキャスターや知識人の数は数えきれないほどいた。
Tシャツを着てるホリエモンを敵視するアタマの固いおっさん連中がどれくらいいたか、フジテレビ買収騒動のときに散々見せられたのを辰巳氏は見てなかったのだろうか?


ちなみに自分は私服を着て通勤してます。
自転車で通勤してるからってのもあるんですが、会社に着いてからスーツに着替えるというわけです。
会社にスーツを置くために土日ごとにスーツを入れ替え、クリーニングに出さなきゃいけないので面倒ですが、通勤の快適さを考えるとスーツにはもう戻れない。


なぜ私服で通勤しているかというと、公私の区別をつけたかったのと、自分は身体がでかいし太っているのでスーツがまったく似合わないから。
普通の服に似合う似合わないがあるように、スーツも似合う似合わないがあるわけです。スーツは万能服じゃないので。
だから自分はスーツが嫌いだし、着たくないのですね。


あと、スーツだと退社後も会社の延長のような気がして、プライベートの自分として遊びにいけないってのがあるので、スパッと公私の区別をつけたかったのです。
スーツだとどうしても個人より会社の看板が重くて足に鎖がついたまんまの気がする。その点私服だと本当に自由。


だから生意気だけどルーキー時代から私服で出社してました。
で、自分が幸運だったのは良き上司・先輩に巡り会えたこと。


私服で出社する自分に「やめろ」と注意する人たちはたくさんいました。
しかしちゃんと話をすればわかってくれるんですね。


通勤で疲れないし、着替えるために早く出社するから、私服の方が仕事のスタートがいいこと。次の日に疲れが残らないこと。
雨や台風なんかでも通勤時に汚れることがないので、綺麗なスーツで仕事できること。
退社後の活動が私服の方がやりやすく、いろいろな活動に参加でき、自身の経験値アップやストレスを下げることが出来ること。
などなど。
私服での通勤の有益さを説明するとわかってくれるんですね。


注意してきたひとたちを説得するとき逆に「なぜアナタはスーツを着て通勤してるんですか?」と尋ねると
「楽だから」「注意されないから」「ビジネスマンはスーツで通うものと決まってるから」…OK。
この答えって五味太郎氏の言うところの「考えることの放棄」ですよね。
そういう意味では辰巳氏の言うとおり

自発的な意思で「手放さない」という観がある。

というのは当たっているのだと思います。
自分は「考えない大人」にはなりたくないという意味でも私服で通っているのです。


でね、私服で通勤している自分からいうと、自分の意見を押し通すために年功序列の方々と戦うのは疲れるわけですよ。
というのも、絶対に仕事の質を落とせないから。
もし仕事の質を落としてしまうと「お前は私服で通ってるから仕事の質が落ちるんだ」と言われちゃうから。
だから絶対に仕事の質を落とせない。


もしスーツで通ってれば逃げ場があるわけですよ。だけど私服だと逃げ場がない。
そこまで追いつめられます。
そこで「仕事の質が落ちたのは別の理由があって」と言っても誰も聞いてくれません。
だから自分の意見・スタイルを押し通すのは実は疲れるんです。


だからそういう部分での疲れがなくならない限り、楽なスーツをみんなが着続けるのは当たり前だと思います。


で、そういうスーツを着続けた人たちが偉くなると、今度は若造を締め付けるようになるんですよね。
若い人がクールビズを主張しようと「オレの時は我慢してスーツを着続けた」という思いがあるから受け入れられない。
クールビズスタイルの人間が失敗するのを今か今かと待ちかまえている…。
「君の成績が悪いのはクールビズのせいだ!!」と言いたくて言いたくてたまらないんでしょうね。


あほくさ。


自分はそんなおっさんにはなりたくないし、そんなおっさんを見て「よーし、ボク将来サラリーマンになるぞ!!」なんて思う子どもがいるでしょうかね?
ああいうふうにはなりたくないな、なったら人生終わりだぜ、あんなのになるくらいなら家に引き籠もってよ〜ってなもんですよ。


夏でもスーツ。
帰ってきたお父さんのクタクタのヨレヨレのスーツを見て、あなたの子どもはあなたのことを「カッコイイ!!」って言ってくれますかね?
「ああいうふうにはなりたくないな」とボク。
「ああなっちゃダメよ」とママ。
パパ、あなたは自分で自分が好きですか? 自分がカッコイイと思いますか?


クールビズを浸透させたければ、月九のドラマあたりで取り上げればいいかと自分は思いますよ。
クールビズを着こなし、颯爽と活躍する若手サラリーマン。
クールビズを着こなし、部下に理解のあるやり手上司。
どぶネズミ色のスーツを着た、無能で頑固で使えねーおっさん連中。
どぶネズミ色のスーツを着て、人の話を聞かない、わからず屋で意地汚い取引先相手のバカ上司。
そんな感じでドラマを作って、「夏でもスーツ=自分で考えることをやめた使えない連中=無能=格好悪い」と、マスコミお得意のラベリングをしてしまえば来年にはあっという間にクールビズが浸透しますよ。


おっさんのためのクールビズ、本当の敵はおっさんなのです。