『アナザーコード』クリアしました。

はい、というわけで『アナザーコード』クリアしました。しかも2周目。


感想は…DSのタッチ画面やW画面をいかした"謎解き"は斬新で面白いと思ったけど、推理モノとしてのシナリオの完成度はかなり「?」かなぁと。
ちょっとネタバレを含むのでこれも色を変えます。



正直、記憶の入れ替えという設定が生きていないように思います。アナザーが完成したのがアシュレイが島に来る前だとしたら、リチャードがアナザーで別の記憶に入れ替えられた時期に「?」がつきますよね。アナザーの起動はアシュレイのDASがないと出来ないわけだし。アナザーで記憶を入れ替える前のリチャードの記憶が正しければ、別に記憶の操作をする必要もないわけだし。
このリチャードの記憶の設定がかなりあやふやだから、サヨコの死についての謎が薄れちゃうというか。
結局のところ、サヨコの死の真相はアナザーに頼らずアシュレイが記憶を思い出すということで決着するんですが、その決着の仕方も「記憶操作機=アナザー」というのがあるので、果たしてアシュレイの記憶が正しかったのか「?」がついちゃうんです。パパを救うためにアシュレイは都合のいい記憶を思い出したんじゃないかと。
人間の記憶なんて結構都合良く変換して覚えてるもんですし。


もし自分だったらアシュレイには母の形見を持たせておいて、それについての記憶を呼び起こさせ、その形見が物証になるというように話を持っていきますけれどねぇ。
記憶なんて曖昧なものじゃなく、やっぱり親子の結びつき、絆の方が深かったんだ、というふうに。


で、この話、過去にブラッド・エドワード島で起こった事件と現在の事件をシンクロさせていくやり方で進むんですが、過去の事件、まったく必要ないといえば必要ないですよね。
過去と現実がうまくシンクロしていないのでディーの存在も「?」と。


以前、ミステリーの要は逃げ道を塞ぐことだと書きました。逃げ道を塞ぐことで登場人物のモチベーションをはっきりさせ、なぜ謎を解かないといけないのか、困難にぶつからなければいけないのかと登場人物を追い込んで行くのですが、『アナザーコード』ではその逃げ道がまったく塞がってないので、トリックや仕掛け、謎についても「?」がついてまわるんですね。
リチャードの記憶の入れ替えも「?」だし、ビルがアナザーを手に入れようとしている理由も「?」だし、サヨコが殺された理由も「?」だし。ついでにいうとアシュレイがパパを探す理由すら「?」なんです。
とりあえず行き当たりばったりで謎を入れておけばそれらしく見えるだろう的に作られたように自分には見えて仕方ない。
それはもちろんこのゲームの本質が「お使いゲーム」だからなんでしょうけれども。


DSというゲームメディアが十代の人間がプレイすることを前提としているのならば、この『アナザーコード』のシナリオは十分及第点だと思います。
アナザーコード』は子供をお化け屋敷に放り込むのと一緒。お化け屋敷って謎やオバケでキャーキャー騒がせるのが目的ですから、『アナザーコード』はそのお化け屋敷的目標は十分にクリアしていると思います。
お化け屋敷に「ストーリーが」とか「シナリオが」とか「キャラのモチベーションが」なんて言っても、それは不粋なだけなので、自分の感想は不粋なものに仕上がってると思います。


DSの機能を使ったトリックや謎解きはさすがと言えるもので、『アナザーコード』はその点でエンターティンメントとしてのお化け屋敷としてはスゴイものだと思いますけれど、シナリオについては正直ちょっと…と思いました。