何回目かの同人誌の話2013

分散型夏季休暇なので、TwitterのTLを見ていてモヤっとしたことについて書いてみようかと。
それは同人誌における著作権の話なのですが。
コミックマーケットが大きくメディアに取り上げられ、同人誌即売会というものがあるということが広く世間に知られ始めるようになりました。
んで、何人か若いオタクの人と話す機会があってコミケや同人誌について話しているといくつか共通したことが。
それは、その若い人たちコミケっていうのがあることは知ってると、でも同人誌即売会ってのは何なのだろう? と。
いや、そもそも同人誌って何ですか? と。
コミケって二次創作のエロマンガとコスプレのお祭りなんじゃないんですか? と。


そこではたと思いまして。
そういうや彼らは20代前半も前半。
幾度かネット界隈で繰り広げられた「同人誌と著作権」の論壇を知らない世代なんだなぁと。
ネットで「著作権」や「引用」について熱い議論が交わされたのって2000年代前半だっけ?と。
家ではパソコンを使わず、スマホで充分って言っちゃう世代だし。
ウチの日記でも著作権については何回か書いてますが、チカラを入れて書いたのは2006年が最後かな?

  • ファンジンに愛を、商業同人に突き立てた中指を。(続ドクバリニッキ 2006年9月10日)

http://d.hatena.ne.jp/bolt69/20060910


コミケをネットで知識を得たような世代の人たちは、やっぱり同人誌即売会や同人誌について「ネットで得た知識」に偏ってるわけで。
それが「コミケは二次創作のエロマンガとコスプレのお祭り」というイメージになってる部分もあるんじゃないかなぁと。
実際、同人誌っていうとコミケではエロマンガよりも普通のマンガや研究や考察を出してるサークルさんや作家さんのほうが多いし。
オリジナル作品や学漫を出してるサークルさんや作家さんもいますし。
エロマンガやコスプレのほうが話題としてネットで取り上げられやすいからそういうイメージになるのかもしれませんが、そのへんは是非とも同人誌即売会としてのコミケを体験しにきてくださいね、と。
この世の地獄が体験出来ますから(笑)。


んで、自分がモヤっとしたTLのtweetってのはこの「コミケは二次創作のエロマンガとコスプレ」ってのを前提としてtweetで同人誌と著作権を語っちゃってるんだろうなぁと。
「同人誌=著作権違反=犯罪」、「作家のおめこぼしで成り立ってる」っていう感じの意見。
そういう意見には上のエントリーを是非とも読んで欲しいです、はい。
しかし7年前に書いてるものだし、間違ってる部分もあるし。
まずはこれを読んでからですな。

http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime2.html
著作者に認められてる権利のことが書いてあります。
この中で同人誌に一番関係があるのは著作者人格権の同一性保持権かな?
これ、今の若い人たちは読んでおくように。

http://copyright.watson.jp/identity.shtml
有名な「あの事件」のくだりも乗ってるのでわかりやすいと思います。
あと同じ『Webで著作権法講義』の中からこちらも読んでおいてくださいね。

http://copyright.watson.jp/copy.shtml
最近は著作権をわかりやすく解説してくれるサイトが多くて助かりますね。
2006年頃なんて検索してもあまり良い記事がなかったのに。
今の若い子は恵まれてるなぁ。


あまり長くなると誰も読まないだろうので、自分の言いたかったことをまとめるとこんな感じ。


世の中にはルールがある。
何かをするときにはルールを守らなくちゃいけない。
だけどそのルールは受け取りかたによってはどこまでがOKでそれ以上はダメという線引きが明快でない場合もある。
それならばルールを頭に入れておいて、ここまでは良いだろう、それ以上はダメだろうと自分で判断するしかない。
著作権法親告罪なのも著作者側にここまでは良いだろう、それ以上はダメだろうと自分で判断させるものだから。
その線引きは実際に裁判が始まってみないとわからないのだし。
それなら自分の頭で考えて、楽しい同人誌活動を送りましょうよ、と。


ここまで書いてきて自分がモヤっとしたものの正体がわかってきたのですが、それはちょっと項をわけて書こうかと思います。
キーワードは「正義厨」といったところかしら?
いま「正義厨」で検索してみたらわりと同人界隈で使われてる言葉でビックリしましたけど。


定規できっちりスパッと二等分出来ない世界なんだから、そこに定規を持ち込んで「きっちり二等分せねばならぬ!!」と言われてもちょっと困るという話、だっけ?
それより自分も7年前とはかなり考え方が変わったなぁと思います、はい。